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GOTO-ONO Research Group
Department of chemistry
Institute of Science Tokyo
金属クラスター
金属クラスターは金属イオンやバルク金属とは異なる、金属核の数や形状に起因するユニークな性質を示すことから、近年注目を集めています。例えば、エチニルベンゼンと銀や金塩を反応させると不溶性の高分子錯体が形成し、これを適切に処理することで金属クラスターが得られます。しかし、この手法では不溶性の高分子錯体を利用しているため、設計してクラスターを合成することは困難で、反応機構も十分に解明されていません。
そこで、我々は不溶性の高分子錯体の生成を抑制することをねらい、立体障害の大きなテルフェニル骨格を有するエチニル配位子1を設計・合成しました。その結果、可溶性の銀や金の4核錯体2, 3が選択的に得ることができました。さらに、配位子と銀塩、金塩を同時に反応させたところ、驚くべきことに銀や金の4核錯体は全く生成せず、代わりに銀2核・金2核からなる新規錯体4が選択的に形成されました。加えて、銀と金の4核錯体を混合すると、この銀2核金2核錯体が瞬時かつ定量的に生成することが確認され、熱力学的に最も安定な構造であることが分かりました。この変換反応を詳細に調査したところ、一見類似した構造をもつ銀4核錯体と金4核錯体であっても、その反応性が大きく異なることが明らかとなりました。この知見を出発点として、我々は現在、より高い反応性を持つ金属クラスターの設計や、より大きな核数を持つクラスターへの変換、さらにはこれらを基盤とした新たな触媒系の開発に取り組んでいます。

• K. Ono, T. Kawamura, H. Saeki, H. Kawai, K. Goto
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