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オリゴフェニレンケージ

 高い化学安定性と内部修飾性を有するオリゴフェニレンケージは、過酷な条件下でも利用できるホスト材料として、大変魅力的です。しかし、その構築には不可逆反応による環化反応が必要となり、高収率が望めず、合成例自体も非常に限られています。

 我々は、内部官能基化オリゴフェニレンケージの効率的な合成法として「共有結合性テンプレート法」を開発しました。3つのピラーを共有結合性テンプレートで連結した環化前駆体とフロアをカップリングさせケージ骨格を構築する手法です。この反応は3分子間で6箇所もの正確な結合形成が必要ですが、テンプレートによる反応点の近接効果と協同的な鈴木-宮浦カップリング反応により、効率よく進行します。すなわち、フロア部が1箇所連結すると続く分子内反応が優先して進行し、中間体Aが生成します。逆側も同様に進行し、ケージ骨格が形成されます。なお剛直なケージ構造を生成する最後のカップリングは、律速段階となります。最後にテンプレートを除去することで内部官能基化ケージへ導くことができます。

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 この手法で組み上がったケージBは、テンプレートで二分割された珍しい内部空間を有しております。またテンプレートは3つのピラーに共有結合的に捕捉され、運動が抑制された状態にあります。その結果、捕捉されたテンプレートが特異な性質を示すこともわかっており、その解明や利用に取り組んでいます。さらに、テンプレートの設計次第では、様々な官能基で修飾されたオリゴフェニレンケージの構築が期待されます。高い化学安定性と高い修飾性を併せ持ったナノケージの化学の展開を目指しています。

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